高市早苗首相が就任後に最初にやったことは何か? 物価高対策と「危機管理投資」、防災庁構想まで徹底解説

政治
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高市首相はいつ就任して、どんな内閣をつくったのか

高市早苗首相は、2025年10月21日に第104代内閣総理大臣として指名・任命され、日本の憲政史上はじめての女性首相となりました。

同日、高市内閣が正式に発足し、皇居での親任式・認証式を経て、初閣議と記者会見が行われています。

この高市内閣は、自民党と日本維新の会による連立政権という形でスタートしています。高市首相は「日本再起」を旗印に、両党の政策合意を土台として政権を組み上げたと説明しています。

また、高市首相は公明党に対しても「26年間の協力に深く感謝」と述べ、これまでの与党協力関係に一定の敬意を示した上で、新たに維新の会とも政策合意を結んだことを強調しています。

ただし国会の勢力図としては、衆参あわせても自民+維新だけでは過半数に届かない「少数与党」の船出であることも首相自身が率直に認めています。そのうえで「それでも諦めない」「政策を一歩でも二歩でも前に進める」と、安定多数ではない状況を正面から抱えた上でのスタートであると宣言しました。

閣僚人事では、平均年齢がおよそ59歳台と前政権より若返り、10人が初入閣というフレッシュさを打ち出しています。一方で、経験ある実力者も要所に置き、外務大臣に茂木敏充氏、防衛大臣に小泉進次郎氏、官房長官に木原稔氏、財務大臣に片山さつき氏など、派閥色・政策色の違う顔ぶれをバランスよく配したと言われています。

高市首相は保守的な安全保障観、財政出動に前向きな経済観で知られますが、外務・防衛分野には比較的中道~協調型の人物も起用して、周辺国や連立パートナーとの摩擦を和らげる意図があるのではないかと分析されています。

まとめると、高市内閣は①憲政史上初の女性首相、②自民×維新の新たな連立という布陣、③しかし議席は安定多数ではない少数与党、④閣僚は「刷新」と「調整」の両方を意識した構成、という4つの特徴をもってスタートした内閣です。

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就任直後に何を最優先と言ったのか:経済です

高市首相が発足当日の記者会見と初閣議で最初に指示したのは、物価高から暮らしを守るための総合経済対策の策定でした。「経済対策を最優先でやる」「国民の生活コストに直接効く対策を急ぐ」と明言しています。

方針は大きく3本柱だと説明されています。

  1. 生活の安全保障と物価高対策

  2. 危機管理投資・成長投資で強い経済をつくる

  3. 防衛力・外交力の強化(つまり安全保障も経済の一部として扱う)

    これらは「責任ある積極財政」という考え方のもとで進めるとされています。

特に物価高対策としては、ガソリン関連の負担を軽くするため「ガソリン税の暫定税率の廃止を今国会で目指す」「軽油引取税の暫定税率も早期廃止を目指す」という、かなり直接的なコストカット策が打ち出されました。

また、エネルギー価格や冬場の電気・ガス料金に対する支援、赤字が深刻な医療機関や介護施設への早急な補助など、「今しんどい現場」への即効性を重視する姿勢を示しています。

さらに、いわゆる「103万円の壁」について、年末調整で一時的に160万円まで引き上げる取り扱いをする、基礎控除を物価連動でさらに上げる税制も検討する、としています。これはパート・非正規の人が一定以上働くと手取りが逆に減るという“壁”をできるだけ引き上げ、家計の手取りを増やしたいという狙いです。

教育・子育て面では、高校授業料や学校給食の無償化を来年4月から本格導入する方向性を打ち出し、同時に高校教育の中身そのものも見直すと述べています。

ここは「現金をばらまく一時金」ではなく、「家計の固定費を構造的に下げる」方向に舵を切ると説明しており、従来の給付金中心の物価対策とはスタイルがやや異なります。

つまり、高市内閣は“物価に押しつぶされそうな暮らし”への即効策と、“働いた分がちゃんと手取りになる構造”の両方を一気にやると宣言した形になります。

「危機管理投資」というキーワード:成長戦略をどう描いているのか

高市首相は、経済再生を「危機管理投資」という概念で語っています。これは、エネルギー安全保障、食料安全保障、国土強靱化、医療・防災能力など、日本が抱えるリスク分野に先回りで投資して、それ自体を成長エンジンにするという考え方です。

所信表明演説(10月24日)では、

  • 経済安全保障(半導体・AI・量子・宇宙・サイバーなど)

  • エネルギー安全保障(原子力、次世代炉、ペロブスカイト太陽電池など国産エネルギー)

  • 食料安全保障(稼げる農業、陸上養殖、AIや衛星活用)

  • 国土強靱化(防災インフラ、災害への準備)

  • 健康医療安全保障(医療・介護の持続)

    といった分野を「官民で先手投資する戦略分野」として列挙しました。

具体的には、半導体・AI・宇宙・サイバーなどの産業を「日本の成長の核」に位置づけ、官民で人材育成・研究開発・国際標準化・スタートアップ支援まで一体で進めるとしています。また「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すとまで言い切っています。

エネルギーでは、原子力と次世代炉、そしてペロブスカイト型太陽電池など国産技術を“安い安定電源+脱炭素”の両立手段として再評価しており、コスト高とエネルギー不安を一緒に解決するというロジックを打ち出しています。

そして防災では、南海トラフや首都直下地震などの巨大災害を前提に「防災庁の設立」を来年度に向けて準備加速すると明言し、災害対策を一段引き上げる姿勢を示しました。

要するに、高市首相は「日本の弱点=同時に日本の成長市場」と位置づけ、そこに大胆にお金と制度を突っ込もうとしています。これは“ばらまき”というより、“リスク対応を成長戦略に変える産業政策”というイメージです。

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外交・安全保障では何を言っているのか

外交・安全保障について、高市首相は「日本の国益を守り抜く」「日米関係をさらに高みに引き上げる」と明言しており、就任直後から米国との首脳会談を最優先課題のひとつとして挙げています。

とくに「自由で開かれたインド太平洋」を引き続き推進しつつ、アジアやいわゆるグローバルサウス諸国との連携も強めたいと語っており、対米一極というより“価値観を共有する国+新興国”の双方とのネットワークを意識していることがうかがえます。

さらに、防衛力の強化も経済政策とセットで語られています。所信表明演説では「危機管理投資」の一環として安全保障分野の強化を挙げており、経済・安全保障・科学技術・エネルギーを一つのパッケージにして、“強い日本”を目指すというフレーミングを取っています。

また、高市内閣の人事面では、防衛相に小泉進次郎氏を起用しつつも、外交・防衛の両トップに比較的バランス志向の人物を置いたことで、強硬・一方的な安全保障路線だけではないというメッセージを内外に送っている、という分析もあります。

一方で、憲法改正や社会保障改革など、国内の大きな制度変更にも踏み込む姿勢を明確に語っており、連立合意の中でも憲法改正は合意事項に含まれていると説明しています。

つまり、外交・安全保障は「対米連携の強化」と同時に「国内の制度改正(憲法や防災体制、エネルギー安全保障)を一気に前に進めるための政治基盤づくり」とセットで動いています。

国民との距離感:支持・期待・リスク

発足直後の世論調査では、高市内閣は高めの支持率(7割前後という報道もある)でスタートしたと伝えられています。高市首相が初の女性首相であること、物価高に真正面から触れたこと、そして「政治の安定なくして経済なし」というメッセージが、まずは好意的に受け止められた形です。

ただし、これは裏返すと期待が非常に高いということでもあります。高市首相は所信表明演説で、「給付金をばらまく」型の物価対策は国民の理解が得られなかったとして見直し、かわりに構造的な負担軽減(ガソリン税の暫定税率廃止、103万円の壁の事実上引き上げ、高校・給食の無償化など)を打ち出しました。

これらは生活感に直結する約束ですので、短期間で実行できなければ「公約倒れ」として逆風になるリスクも抱えます。

また、連立相手の日本維新の会は「身を切る改革」や議員定数削減などを強く求めており、高市首相自身も「閣僚の給与を議員歳費以上には受け取らない法改正に取り組む」とまで踏み込んでいます。

これは政治不信対策としてはわかりやすい一方、「実際に国会で通るのか?」「パフォーマンスで終わらないか?」という厳しい目線も、これから一気に集まっていくと考えられます。

さらにもうひとつの大きな課題は、少数与党ゆえに法案を通すたびに他党との交渉が必要になることです。高市首相は「政権の基本方針と矛盾しない限り、他の野党からの政策提案も原則前向きに受け入れる」と宣言し、柔軟な合意形成型の政治スタイルを打ち出しました。

これは裏を返せば、対立軸を明確にぶつけて押し切る従来型の「多数派政権」ではなく、野党を巻き込んで1本1本の政策を積み上げていく“交渉内閣”になるということです。スピードと妥協点の両立が常に問われるタイプの政権になります。

ここまでの動きの時系列ざっくりまとめ

ここまでを日付で追いやすいように並べます。

2025年10月21日

  • 臨時国会で高市早苗氏が第104代首相に指名され、女性として初めて日本の総理大臣に就任します。

  • 同日夜、高市内閣が発足し、官邸で初閣議・記者会見。「物価高対策を最優先とする総合経済対策」「ガソリン税の暫定税率は速やかに廃止」「103万円の壁の引き上げ」など、生活直撃型の政策を初日から指示します。

  • 自民党と日本維新の会による連立を明言し、「政治の安定がなければ経済も外交も進まない」と強調します。

  • 閣僚名簿が公表され、初入閣10人、平均年齢が前政権より若い布陣で「決断と前進の内閣」を掲げます。

  • バックグラウンドとして、高市首相は「日本を再起させたい」と連立合意に協力した維新、長年支えてきた公明党、そして他の野党にも一定の協力を呼びかけ、「少数与党であっても前に進む」と語ります。

2025年10月22日〜23日

  • 自民党は内閣発足を「決断と前進の高市内閣」と紹介し、若返りと初入閣の多さをアピールします。

  • 連立に参加する維新側との人事・調整も進み、維新側のキーパーソンが「連立合意政策推進担当補佐官」として官邸に入る形が示され、政策調整ルートが官邸直下に引き込まれます。

  • 一方で、野党側や左派メディアからは「高市内閣は改憲や大軍拡を狙い、社会保障を削る方向ではないか」「民意からズレているのでは」という厳しい批判も出始めています。

    つまり、スタート直後から「期待」と「警戒」が同時に走っている状態です。

2025年10月24日

  • 高市首相が所信表明演説を行い、内閣の全体像を国会で公式に説明します。

  • 演説では、(1)物価高への即効策、(2)危機管理投資を核にした成長戦略、(3)エネルギー・食料・防災・技術・人材を「安全保障」と一体で強化する長期ビジョン、(4)日米関係を軸にした外交・安全保障、(5)政治とカネや議員特権の見直しまでをパッケージで示しました。

  • また「給付金で票を買うタイプのバラマキはやらない」「構造から直す」と明言し、従来型の『一律給付→一時しのぎ』方式との差別化を打ち出しました。

ここまでで、高市首相は「私は経済最優先でやる」「でも経済だけじゃなく、防衛とエネルギーと防災と子育て支援を一体でやる」「それを少数与党でも必ず通す」というシナリオを、ほぼ3日間で一気に提示したことになります。

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これから何を見るべきか

現時点での高市政権は、まだ「設計図」を示した段階です。

ただ、その設計図はかなりはっきりしています。

  1. 物価と暮らしを守る短期策を最優先すること

    ガソリン税の暫定税率廃止やエネルギー支援など、生活コストに直結する部分を最初に持ってきている以上、ここが実際に国会で法案・予算として形になるかどうかが、内閣への信頼を左右します。

  2. 「危機管理投資」という新しい成長ストーリーが、本当に投資と雇用を生むのか

    半導体・AI・防災・エネルギー安全保障・農業の高付加価値化といった分野に、官民で本当にお金が流れるのか、国内産業が復活・拡大できるのかが問われます。

  3. 少数与党型の“交渉内閣”として、スピードと合意形成を両立できるのか

    これは今の国会情勢特有の難問です。高市首相は「野党とも組む」とまで明言しましたが、実際に法案を通すたびに、政策の純度をどこまで守れるかが課題になります。

  4. 憲法改正、防衛力強化といった重たいテーマを、物価高対策と同じテーブルに乗せてくることへの国民の反応

    「暮らしを助けるなら聞くよ」というムードのなかで、同時に憲法や安全保障の話まで一気に進めることに、国民がどこまでついてくるかはまだ未知数です。

まとめ

高市早苗首相は、2025年10月21日の就任からわずか数日のうちに、①「史上初の女性首相」という象徴性、②自民党と日本維新の会による新しい連立政権、③物価と暮らしに即効性のある経済対策、④危機管理投資と称する長期の成長戦略、⑤日米関係強化と防衛・憲法改正まで含んだ安全保障パッケージ、というかなり広い“戦う場所”を一気に提示しました。

一言でいうと、高市内閣は「経済最優先」と言いながら、実際には経済・安全保障・エネルギー・防災・教育費負担の軽減・政治改革までを“全部一体でやる”と宣言している内閣です。

このスピード感は、就任直後としてはかなり攻めています。そのぶん、実行できるかどうか、そして国会で合意をどう積み上げるかが、いきなり試される局面に入っていると言えます。

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