ワールドシリーズ第6戦、ドジャースはロジャース・センターで3–1の勝利。山本由伸は6回1失点(5被安打・1四球・6K)でシリーズ2勝目を挙げ、決戦の第7戦へ持ち込みました。これで山本のWS成績は2登板15回2失点、防御率1.20。内容・量・物語性の三拍子で、すでに“実質MVP”と呼ぶに足る土台が整っています。試合の要点、配球と戦術、ルールが絡んだ最終回の騒然、歴代の投手MVP比較、最新オッズ、そして海外の反応50選まで一気にどうぞ。
第6戦のハイライト:一挙三点→総力継投→“規則通り”の幕切れ
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スコア:LAD 3–1 TOR(G6)— シリーズは3–3で最終戦へ。
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山本:6.0回/96球、1失点。第3回をスミスの適時二塁打→ベッツの2点打でバックアップ。終盤はWrobleski→佐々木朗希→グラスノーの継投で逃げ切り。
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最終回の騒然:中堅フェンス下に打球が挟まる=グラウンドルール・ダブル扱いで走者は二・三塁へ。ルール上はボールデッド・各走者は投球時の塁から二つ進塁が原則。ここからポップフライ→“7-4”の珍しいゲームエンディング併殺が成立し試合終了。
ルール解説:壁やパディングにボールが挟まった時点でボールデッドとなり二塁打相当。得点が“消えた”のではなく規則通りの再配置です。
“実質MVP”の根拠:WS成績とシリーズの物語性
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第2戦:9回完投、4安打1失点、無四球8K(105球)。約10年ぶり級の完投で流れを引き戻す内容。
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第6戦:6回1失点、要所でゴロ量産。
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累計:15回2失点、ERA1.20、被安打9、四球1、奪三振14、2勝0敗。量×質を両立した“王道の投手MVPレンジ”に入っています。
付記:大谷翔平への申告敬遠が今シリーズ5度目に達したとの言及も。火ダネを前に置きながら、山本が後続を断ち切る場面の多さは“価値”として効いています。
配球・球質・ゲームプラン:この日の“勝ち筋”
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スプリットが主役のシリーズ
今シリーズその象徴はスプリット。ド軍では佐々木朗希が約46%、山本が約25%、大谷も約7%と“落ちる球”の比重が大きい布陣。G6は高め見せ球→低めスプリットの抑え込みが顕著でした。 -
球威の裏付け
G6先発前の調整段階で97mphが計測されたエピソードは、立ち上がりの球威を裏打ち。テンポも含め“主導権”を渡さない準備が整っていました。 -
審判・ゾーンの揺らぎ
球審はアダム・ハマリ。ゾーンの話題は尽きないが、この日は両軍に揺れがあったとの受け止めが目立ち、結果は継投と守備で上回った側に微笑みました。
戦術の肝:継投と“守備で勝つ”設計
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Wrobleski→佐々木→グラスノー
若手と先発級をハイレバ限定でつないだロバーツの運用が的中。とりわけ最後に先発のグラスノーを回す決断は、“明日なき継投”のド真ん中。 -
ゲームエンディングの7-4併殺
Kikéヘルナンデスの送球判断と二塁ロハスの反応は芸術点。初見では混乱必至の場面を、規則理解×準備で勝ち切ったことに価値がありました。
“オッズ”の現在地:三つ巴の中で山本は浮上
主要ブックの10/30時点レンジ:
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V.ゲレーロJr.:-195
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大谷翔平:+250
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山本由伸:+1300(G6後に評価上振れの論調)
最有力はゲレーロという見立てが多いものの、第7戦の内容がそのまま投票に直結する構図。山本は“ダークホース”から堂々の最有力集団へ。
歴代「投手のWS MVP」主要例と“山本の現在地”
投手MVPは支配的な内容か決定戦の物語性で票を集める傾向。代表例と**山本(15回2失点, ERA1.20)**の比較感は以下の通り。
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2019 スティーブン・ストラスバーグ(WSH):G2 6回2失点、G6 8回1/3 2失点=敵地2勝で受賞。
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2014 マディソン・バムガーナー(SF):21回0.43、G7で5回救援セーブの伝説級。
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2003 ジョシュ・ベケット(FLA):G6 敵地完封で締め。
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1995 トム・グラビン(ATL):G6 8回1安打無失点で戴冠。
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1991 ジャック・モリス(MIN):G7で10回完封。
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1999 マリアノ・リベラ(NYY, 救援):3登板4回2/3無失点、1勝2S。救援投手MVPの典型。
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1988 オーレル・ハーシュハイザー(LAD):2先発2完投級の支配(2勝、ERA1.00)。
→ 山本の現時点の“位置”は1995グラビンや2019ストラスバーグの“2登板で質量を示したライン”に十分肩を並べる。第7戦での関与(短い救援、あるいは試合を決めるゼロ封)があれば歴代級の物語性が乗り、票の上積みが見込めます。
なおWSのMVPは最終戦の球場にいる記者団らが即時投票する仕組み。勝者側から選ばれることが多いのも勘所です(例外:1960年のボビー・リチャードソン)。
第7戦のチェックポイント(日本時間11/2〈日〉9:00)
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予定先発:TORはマックス・シャーザー。LADはグラスノー軸に“総員戦”。大谷の投入法も焦点。
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鍵:①先取点(G6は3回の一挙3点)②ハイレバでのゼロ(救援の使い所)③守備の一打(G6の7-4併殺の再現性)。
データ小ネタ:18回マラソン・“敬遠の圧”
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G3の18回死闘は、このシリーズの疲労とベンチ運用に長い“影”を落とした重要局面。
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大谷の申告敬遠はシリーズで5度に達したという話題。**“歩かせてでも避けたい”**打者の存在が、周囲の投手(山本含む)を助ける“見えない援護”にも。
海外の反応(英語→日本語訳)50選
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「Yamamoto’s tempo is elite——テンポが打者を窮屈にしてる」
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「That splitter just vanishes——スプリットが消える」
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「ベッツの2点打が流れを決めた」
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「Will Smith’s doubleが口火を切った」
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「ガウスマンは悪くない。相手が一枚上」
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「Strike zoneはブレたが、結果は妥当」
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「9回の挟まりボール=二塁打扱いは“ルール通り”」
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「Kikéの送球は痺れた」
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「継投でグラスノー投入は大胆」
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「Jaysはあと一本が遠い」
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「山本は無駄球が少ない」
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「ロバーツの継投は今日は攻め」
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「配球が徹底されてた(対ゲレーロ)」
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「走塁の細かな差が得点に」
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「大谷の勝負回避は合理的」
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「18回マラソンの疲労が残ってる」
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「ド軍の守備位置取りが冴える」
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「今日のヤマモト、力みゼロ」
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「Jaysの立ち上がり三者連続Kは震えた」
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「それでも勝利投手は山本」
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「ベッツがやっと“らしさ”」
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「フリーマンは球際が巧い」
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「スプリンガーの復帰は効いたが一歩届かず」
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「審判は両軍に揺れた」
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「Yesavageの存在感はやはり脅威」
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「G7はシャーザーの経験値が武器」
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「だが大谷の何でも屋起用は脅威」
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「中1日相当のグラスノーは短い?」
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「救援待機の山本が不気味」
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「継投タイミングは議論の余地」
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「MVP論争が一気に混戦」
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「今の本命はゲレーロ。でもG7次第」
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「G6のMVPは山本で納得」
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「大谷が打で決めたら逆転も」
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「Jaysは小技も一考だった?」
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「**Will Klein(G3ヒーロー)**の余韻が効く」
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「Edmanの一打が地味に大きい」
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「ド軍は**“勝ち方”を知ってる**」
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「若いブルペンが堂々」
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「最後の判定は規則通り」
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「オオタニの起用法が最大の謎」
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「山本の球数管理が見事」
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「Jaysの守備シフトは概ね成功」
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「Kikéの肩は武器だ」
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「G7、野球の神はどちらに?」
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「“実質MVP”は山本でいい」
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「投手がMVPを取るなら、こういう内容」
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「初回の攻防が最大の山場」
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「G3で山本を温存した判断が今効く」
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「中立ファン的に最高のシリーズ」
歴史の扉:日本人初の“投手MVP”は見えるか
WSの日本人MVP受賞者は**2009年の松井秀喜(打者)のみ。“投手MVP”**となれば史上初の金字塔――この重みも、投票に前向きな“追い風”になり得ます。
編集部見立て:なぜ“実質MVP”と言えるのか(結論)
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量×質の両立…G2完投+G6先発勝利で、短期決戦における**“勝ちの作り方”**を体現。
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決勝局面の支配…第3回の先制三点を“活かす投球”で、以降はゲームを管理。終盤は守備と継投で仕留める“総合力の勝ち”。
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オッズの上方移動…ゲレーロ本命の図式の中で山本が強く浮上。第7戦で決め手が出れば最有力まで踏み込める。
そして何より、G6の規則理解×準備で勝ち切ったラストの絵は“物語”として美しい。あとは第7戦で“実質”を“正式”に変えるだけです。


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