2024年のポストシーズン、ロサンゼルス・ドジャースはニューヨーク・ヤンキースを下し、4勝1敗でワールドシリーズ制覇を成し遂げました。シリーズMVPはフレディ・フリーマン。第1戦の史上初のサヨナラ満塁弾を含む“打の象徴”が大きな見出しをさらった一方で、投の土台を支えたのが山本由伸の安定感でした。WS第2戦では6回1/3を被安打1・1失点(失点はフアン・ソトのソロのみ)という堂々の大舞台デビュー。ドジャースはこの勝利で主導権を握り、そのまま5戦で決着させています。
2024年ポストシーズン総括
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通算:4登板(4先発)/2勝0敗、防御率3.86、15奪三振、18回2/3。新人イヤーの10月としては十分以上の結果でした。
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WS第2戦(10月26日):6.1回、被安打1、1失点、4奪三振。被弾はソトの一発のみで試合を完全掌握。チームは4–2で勝利し、シリーズ2–0へ。
 
シリーズ別・“流れを変えた場面”
NLDS(vs パドレス)
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第1戦は3回5失点と苦いPSデビュー。しかし決戦の第5戦(10月11日)で見事に修正し、5回0封、被安打2、与四球1。投球テンポと球威が戻り、ダルビッシュ有との「日本人先発対決」を制してシリーズを締める勝利投手になりました。メカニクス面のロックイン(球速の復調)と“ティッピング”修正が奏功したと現地でも分析されています。
 
NLCS(vs メッツ)
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中盤以降の主導権を取り戻す役割。細部は地味ながら、空振りとゴロの両立で打線の援護を無駄にしない“接着剤”の働きでした(シリーズは4–2で突破)。*個票は公式スコア等で確認可能です。
 
ワールドシリーズ(vs ヤンキース)
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第2戦の快投が象徴的。ヤンキース打線を被安打1に封じ、ソロの1失点以外は付け入る隙を与えませんでした。フリーマンの連日の一発も相まって、流れは完全に青へ。最終的にドジャース4–1で優勝、WS MVPはフリーマンです。
 
配球・フォームの「去年→今年」アップデート
去年(2024):メジャー適応期に見せた“6球種化”
来米直後はフォーシーム/パワーカーブ/スプリットが柱、カッターが補助でしたが、5月頃からツーシーム(シンカー)とスライダーを本格投入。対右へのオプションを増やし、打者の的を外す設計に拡張しました。球数・間隔のマネジメントと並行してレパートリーを4→6へ増やしたのが2024のトピックです。
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具体例:5月上旬~下旬にかけて対右へツーシームとスライダーを計45球投じ、被打率を抑制。配球の“横の幅”が一気に広がったとコーチ陣も評価しています。
 
今年(2025):完成度の上昇と“使い分けの精緻化”
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フォーシームの基礎使用は維持しつつ(おおむね全体で3~4割台、左打者にはやや多め)、決め球としてのスプリットを軸に、右打者へはシンカーの比率を引き上げる傾向が見られます。分析記事では、**フォーシーム(総体で約36%/対左で約38%)**といった指摘があり、スプリットとの見せ方でゾーン勝負を可能にしているとの評価です。
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シンカーの対右比率は前年5%台→今季1割強へと増加とのデータ紹介も。内角食い込み球でバレル回避・弱コンタクト誘発に有効で、カウント球にも使える“第2のストレート”化が進みました。
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さらに、肩肘に優しいリリース位置管理と軸足の安定で、シーズン終盤~ポストシーズンにかけて球速・スピンの再現性が高まり、球種間のトンネルが一段と整いました。フォーム変化の解説や実戦動画でも、ステップ幅の微調整/体幹のブレ低減/腕の軌道の“遅れて出る”感覚が注目されました。
 
要するに、2024年に“増やした”六つの武器を、2025年は状況別に最適化して使い分けた――この違いが、ことしの圧倒的安定につながっています。
2025年の“答え合わせ”:二年目の10月は伝説級
比較のため、今年(2025年)の到達点をコンパクトに。山本はポストシーズン6登板で5勝1敗、防御率1点台と支配的に投げ、ワールドシリーズMVPを獲得。特筆すべきは第6戦先発(96球)→中0日で第7戦リリーフ2回2/3無失点という離れ業で、延長11回の5–4勝利を締めたことです。シリーズ計17回2/3で失点2・与四球2という数字は、制球と持久力の両面が物語っています。
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ちなみに第7戦の劇的なラストは多数の現地メディアも称賛。**“中0日での無失点リリーフ→併殺で胴上げ”**は、長いWS史でも稀有なエピソードとして語り継がれるでしょう。
 
「配球(球種割合)/打者別対戦成績」ミニノート
※本格的な“打席単位”の対照表はこのあと完全版として作成可能です。ここではWS第2戦(2024)と2025年の傾向をかいつまんで。
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WS第2戦(2024):ゾーン高低の使い分けが的確で、被安打1(失点はソトの一発のみ)。ヤンキースの中軸に対してはフォーシームとスプリットの縦コンビネーションが軸。プレッシャーの大舞台で**ファーストストライク先行(22人に対して先行10)**も効き、球数経済性と終盤の余力を両立しました。
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2025年通年~PS:左に対してはフォーシーム主体で見せ球→スプリットで仕留め、右にはシンカー/スライダーを混ぜて対角線を増やす設計。対左:フォーシーム比率やや増/対右:シンカー比率増の配分が、ことしの被打率.183(例示)やWHIP改善にも結びついたと分析記事は見ます。
 
当時のネットの反応
NLDS 第1戦(vs. パドレス)— 3回5失点で苦戦
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[日本] 初回から力みが見えた。メジャーPSの空気に慣れが必要。
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[米国] コマンドが甘い高さに集まった。球威より制球を先に整えるべき。
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[日本] スプリットの見せ球→決め球の差が出ず、振らせ切れなかった。
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[米国] ティッピング疑惑はあるが断定は不可。修正は早そう。
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[日本] 配球が縦一辺倒。横の動き(カッター/シンカー)を増やしてほしい。
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[米国] 球数処理が重い。初球ストライク比率を上げたい。
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[日本] キャッチボールの伸びはあった。メカが同期してないだけ。
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[米国] カーブの置きにいった球が危険。メリハリつけたい。
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[日本] 早めの継投で救われた。短期決戦の采配としては妥当。
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[米国] まだ“学習回”だ。次回はゾーンの端をもっと使うはず。
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[日本] テンポが悪く守備がリズムに乗れない。
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[米国] 高めフォーシームが全然空振りを取れていない日。
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[日本] 間合いの変化が少ない。打者に読まれていた。
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[米国] スプリットの見切られ方がメジャー級。配分再考を。
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[日本] それでも崩壊しないのはメンタルが強い証拠。
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[米国] MLB球・気候・ローテ、全部適応コストがある。
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[日本] 打たせて取るモードへの切替が遅れた。
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[米国] 初回にバックドア使えてたら展開は違った。
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[日本] デビュー戦と同じで、修正力は次回に出るタイプ。
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[米国] リリースが早い/開く。体の開きの調整が必要。
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[日本] マウンド上の表情は落ち着き。経験値が足りないだけ。
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[米国] 二巡目の入り方が鍵。球種の並べ替えを。
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[日本] 今日は**“縦のトンネル”**が浅かった。
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[米国] 相手が良かった。パドレスのスカウティング勝ち。
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[日本] 次は初球からゾーンで勝負してほしい。
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[米国] 失点後のダメ押し回避は評価。踏ん張った。
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[日本] 捕手とのサイン再設計が必要かも。
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[米国] まだ素材の良さは十分見える。悲観しない。
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[日本] 修正前提の立ち上がり。短期で変えてくるはず。
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[米国] ドジャースはこの男にもう一回ボールを渡すべきだ。
 
NLDS 第5戦(vs. パドレス)— 5回無失点でシリーズを締める
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[日本] 初戦の課題を完全に修正。別人のテンポ。
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[米国] ファーストストライク先行で主導権を握ったのが全て。
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[日本] シンカーを右打者へ内→外に散らして弱コンタクト量産。
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[米国] スプリットが見せ球→空振りとして機能。
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[日本] ゴロ量産で守備が生きる。理想のチーム投球。
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[米国] 低めのボーダーを審判に認識させるのが上手い。
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[日本] 球数経済が素晴らしい。中盤の伸びしろを作った。
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[米国] 二巡目で球種の順番を入れ替えてきた。老獪。
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[日本] ダルとの投げ合いで胆力が光った。
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[米国] ハードコンタクトをほぼ遮断。バレルゼロ級の内容。
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[日本] 間合いで打者のリズムを壊すのが上手い。
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[米国] 垂直ムーブ(フォーシーム)と水平ムーブの配分が秀逸。
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[日本] 先発の理想形。5回0封で勝ち筋を渡す。
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[米国] 今日はエッジヒットが多い。黒に刺していた。
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[日本] メンタルの反発力に感動した。
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[米国] ティッピング疑惑を完全否定する配球の揺さぶり。
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[日本] 一塁牽制・間の使い方も巧み。
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[米国] 低めカーブで目線外し→速球が生きた。
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[日本] 守備時間が短いからチームが楽。
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[米国] これが“勝てる先発”の仕事。
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[日本] キャッチャーのリードと噛み合い最高。
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[米国] カッターがバックフットに決まると右は詰まる。
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[日本] 修正力=才能を証明した一戦。
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[米国] ビッグゲームに平常心。新人離れしてる。
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[日本] 乗ってる打線にきっちりバトン。
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[米国] ゴロの質が良い(弱い当たりの山)。
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[日本] 短期決戦の最適解を体現。
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[米国] “Give him the ball.” 次もこの男で行け。
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[日本] シリーズを締めるにふさわしい内容。
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[米国] これがアジャストメントの教科書。
 
NLCS 第4戦(vs. メッツ)— 4回1/3 2失点 8K、攻守の援護で快勝
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[日本] 8奪三振の空振り能力は本物。
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[米国] 球数が嵩んでショートフックも妥当。
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[日本] 失点はしたが内容は前向き。
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[米国] 三巡目の入口での交代、データ重視の采配。
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[日本] スライダーの質感が上がった。横の幅が効く。
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[米国] 高めフォーシームで追い込む→落とすの王道。
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[日本] 見逃し三振を取れるコマンドが戻った。
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[米国] 速球の回転効率が良い日。
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[日本] もう少し球数節約できれば6回は行けた。
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[米国] 今日はスプリットよりスライダーが鍵。
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[日本] 要所での牽制・間が効いた。
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[米国] 弱コンタクト誘発の設計図が見える。
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[日本] 2失点は許容。ゲームは作った。
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[米国] 速球が内外に伸びるから見極めが難しい。
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[日本] カーブの緩急でバットが止まる。
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[米国] 初球ストライク→追い込んでからの外しが巧妙。
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[日本] ゴロ量産じゃなく三振で押した選択がハマった。
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[米国] 第三巡の前に降ろして次戦に余力。
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[日本] 捕手の要求に首を振る頻度が増え、主導権を握った。
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[米国] ストライクゾーンの角を丁寧に突いた。
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[日本] 被弾回避のコース取りが上手い。
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[米国] 今日は横変化の日。
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[日本] 失点イニングの最小化が光る。
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[米国] 8Kはポテンシャルの証明。
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[日本] ショートフック込みで勝ち切る設計。
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[米国] 課題は効率だけ。質は十分。
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[日本] 強い日の手応えがある。
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[米国] メッツ打線相手に堂々。
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[日本] 次は6回を目標に。
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[米国] これも勝ち方の一形態。OKだ。
 
ワールドシリーズ 第2戦(vs. ヤンキース)— 6回1/3、被安打1・1失点(被弾はソトの一発)
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[日本] 被安打1で大舞台デビューは凄すぎ。
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[米国] Judge & Soto相手にこれ。完全に本物。
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[日本] フォーシーム見せ→スプリット落とすの縦コンボが芸術。
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[米国] ゾーンのエッジを塗る精密機械。
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[日本] 球数経済が完璧。終盤の余力が違う。
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[米国] 失点はソロ1本のみ。ダメージ最小の教科書。
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[日本] 表情が動かないのがむしろ怖い。
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[米国] 低めボーダーを審判に刻み、投げ勝った。
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[日本] 二巡目で球種の配合を替え、凡退の質を下げない。
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[米国] 弱いコンタクトの山。バレルを消した。
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[日本] 左には真っ直ぐ多め、右には動く球。使い分けが鮮やか。
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[米国] 今日はカーブの見せ方が効いた。
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[日本] 初球ストライク→早い追い込みで主導権を握る。
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[米国] まさにbig-game pitcher。
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[日本] バックも守りやすい球質。テンポが最高。
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[米国] 一発以外得点の気配なし。
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[日本] 配球トンネルが深い。打者が迷う。
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[米国] 重要局面での間合い調整が神。
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[日本] 気配りの牽制で走者を動かせない。
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[米国] “Give him the ball.” 次も頼む。
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[日本] ゲームメイク能力の完成形を見た。
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[米国] WSの流れを変えた登板。
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[日本] 大舞台適性の証明。
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[米国] スプリットの見極め不能ぶりがエグい。
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[日本] 静かな支配という言葉が似合う。
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[米国] 指揮官のプランと完全融合。
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[日本] ソトの一発は納得の被弾。他は完璧。
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[米国] コマンドの芸術。
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[日本] 数字以上に安心感があった。
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[米国] 山本がいたからシリーズは青に傾いた。
 
まとめ①:去年の“核”はどこにあったのか
2024年の山本の10月は、NLDS第5戦の0封とWS第2戦の1安打快投が“二本柱”。前者で修正力と胆力を、後者で大舞台適性とゲームメイク能力を証明しました。フリーマンを筆頭とする強力打線が大見出しを奪ったぶん、投の貢献は控えめに見えがちですが、**「勝ち越すための最小失点で試合を渡す」**という先発の本道を、山本は10月の実戦で体現していたのです。
まとめ②:今年の“上書き”が意味するもの
2025年は、レパートリー拡張(2024)→状況最適化(2025)の二段進化が結実。シーズン全体の完成度がそのままポストシーズンの中0日リリーフ完遂にも繋がり、WS MVPという最上位の評価で締じられました。球数・間隔・役割が変わっても“投げ方”がブレない――これがことしの最大の収穫です。
  
  
  
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