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積水化学工業をはじめとする日本企業が牽引するフィルム型ペロブスカイト太陽電池は、超薄型・軽量・柔軟性が大きな特徴です。
大阪・関西万博では実環境に近い条件で展示・実証され、「実証から社会実装」への大きな一歩となっています。
技術概要
項目 | 仕様/特徴 |
セル構造 | 有機ハロゲン化物ペロブスカイト薄膜+透明電極+保護層 |
発電効率 | 実証段階:15%前後(目標:2025年20%、2030年30%超) |
質量 | 約1.5kg/m²(シリコン型の1/10程度) |
柔軟性 | 曲率半径10–15cmまで追従 |
厚み | 0.4–1.5mm |
耐候性 | 屋外10年相当の耐候性検証中 |
製造法 | ロールツーロール印刷による連続成膜 |
関西万博での展示・実証
展示場所 | 活用シーン | 実績概要 |
西ゲート交差ターミナル屋根 | スマートポール基地局用電源 | 薄膜を屋根に直貼りし10年相当の耐候性検証中 |
会場内スマホ充電柱 | 来場者向け充電ステーション | 生成電力で夜間照明・スマホ充電をサポート |
万博協賛エリア各パビリオン外装 | 建築物大面積貼付 | “Vision 2030”戦略の一環として外壁全面に展開 |
日本館・未来館プラネタリークライシスゾーン | 技術解説パネル展示 | 組成や開発ストーリーを一般来場者向けに紹介 |
日本の優位性
・量産技術:ロールツーロール印刷ラインの早期構築でスケールアップを先行。
・耐候性対策:高湿度環境を想定したコーティング開発と長期テスト体制。
・建材連携:パナソニックらによるBIPV規格適合・施工マニュアル整備。
・政策支援:NEDO助成や自治体実証支援でスマートシティ実験への参画増。
日本企業の主な取り組み
企業・連携 | 取り組み概要 | 実証・展示場所 |
積水化学工業 | ロールツーロール印刷による量産技術開発と屋外10年耐候性検証 | 万博パビリオン外装、ターミナル屋根等 |
パナソニック | 建築一体型フィルムPV(窓ガラス埋め込み)の試作と評価 | 住宅展示場、BIPVショールーム |
大林組 × アイシン | 交換可能シート方式の施工法確立と年間発電最大化手法を検証 | 大林組技術研究所(東京・清瀬) |
旭化成エンジニアリング × JR西日本 | 駅舎の外壁(倉庫・ホーム)への施工実証 | JR西日本倉庫、ホーム上屋 |
Obayashi × アイシン | ファスナー固定&パネル交換工法による施工性・発電量検証 | 大林組技術研究所内実証パネル |
メリットと課題
分類 | メリット | 課題 |
性能 | 軽量・薄型で後付施工が容易<br>曲面・ガラス一体化が可能 | 効率はシリコン型にやや劣る<br>長期耐候データの蓄積必要 |
コスト | 材料使用量削減で低コスト化期待 | 量産ラインの歩留まり向上と設備投資回収が急務 |
設置 | 建築外装・窓ガラス・パビリオンなど多彩な場所に貼付可能 | 耐湿・耐熱対策強化と施工ガイドラインの普及が課題 |
廃棄 | Pb回収プロセス実証進展 | 多層構造分離技術の効率化と処理インフラ整備が必要 |
今後の展望
1,タンデムセル化で30%超効率化実証
2,長期モニタリングデータ公開と耐候性コーティング改良
3,国内外向け量産ライン最適化とコスト競争力強化
4,廃棄リサイクル標準化に向け官民連携
5,IEC/JIS規格適合促進とグローバル展開
大阪・関西万博で蓄積された実運用データは、次世代エネルギーソリューションの普及加速に向けた貴重な指標です。日本企業らの先進的な取り組みと実証成果を通じ、2030年以降の本格実装がいよいよ現実味を帯びてきました。今後もこの技術の進化と社会実装動向に注目していきましょう。
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